七十二候は「地始凍(ちはじめてこおる)」を迎えました。大地が初めて凍るという意味ですが、日本の11月は暖かい「小春日和」が多く、この晴天と夜の寒気が繰り返されることで、紅葉が進んでいく時期。
「凍てる」は冬の季語で、「凍て鳥」、「凍て星」「凍て風」などさまざまな子季語がありますが、凍えるような厳しい寒さは年を越した小寒、大寒の頃で、とてもゆっくりと寒さが増していくのが海洋性気候の日本の特徴です。
年内は寒さの中にもどこかまだまだのんびりした穏やかさがあって、衣服を変えたり、寝具を増やしたり、冬らしい食卓の味に懐かしさを感じたり、今年もまた無事に冬を迎えられた、という安堵感とともに「今年初めての」感触や味わいに、ささやかな喜びや楽しみを感じられるときではないかとおもいます。
今は季節はずれの花がポツポツと咲く「返り花」の季節でもあります。先日、ご紹介した金木犀の三度咲きもそうですが、「返り花」は本来、春や初夏に咲く花が帰り咲くこと。「冬ぬくし」という言葉もあるように、うっかり咲いてしまうほど、あたたかい日があることを知らせてくれる花たち。
冬景色の中でそこだけ明るく、ちりんと咲く姿は心の中にポッと灯る希望の灯のように感じられます。ちぢこまっていた心や身体がふっと緩んだり、そっと励まされたり。近年は暖冬傾向にあるため、年々、多くなっているように感じますが、みなさまの地域ではいかがでしょうか。
最近、出会った「返り花」たちです。
足元にもさまざまな返り花が。カタバミにはミツバチがせっせと蜜を集めにきていました。アリもまだウロウロしています。みなさまの地域ではどんな花が咲いているでしょうか。